村岡地区安全・安心ステーションレポート

 藤沢市には、地域の防犯活動の拠点や防犯に関する情報交換の場となる「安全・安心ステーション」が6地区に設置されています。今回はそのうちの1つである村岡地区での活動の様子をうかがいました。

 村岡地区安全・安心ステーションは、もともと交番の空白地域で地域から防犯活動の拠点整備の要望が高かったことから、2009年3月に設置されました。すぐ近くには高谷小学校があり、児童の登下校の見守りや校外学習・交通安全教室など、学校との関わりを持った活動も定期的に行われています。

 安全・安心ステーションを拠点に防犯や交通安全の活動を行うのは、地域のボランティアのみなさん。近隣の4つの町内会が交代で活動しています。この日も4人が高谷小学校の下校時刻に合わせ、交差点を児童が安全に通行できるよう、横断歩道の前で待機します。

 登校時の見守りは、朝は午前7時30分から8時10分頃まで、下校時は午後1時30分から2時までと、2時30分から3時15分頃までが活動タイムです。

バス通りとなっている道路の2つの交差点に分かれて立ち、児童の横断をサポートします。

 帰ってくる児童たちには「おかえり」「はいちょっと待ってね」などと声をかけ、信号待ちの間にはおしゃべりをしたりもします。

 日常的な見守り活動をするボランティアの方々は、子どもたちにとっても身近な存在の様子。通りがかる自転車の親子や、下校後の児童にも声をかけると、返事がかえってくるとのことです。

「継続して立っていることで、子どもの成長も見られる」と、ボランティアの方は微笑みます。

 卒業式の前に『いつも声をかけてくれてありがとう』という手紙をくれたり、高校生になった子がバレンタインのチョコレートを持ってきてくれたりしたこともあったそうです。

 見守り活動は、帰ってくる子どもたちの姿が見えなくなるまで続けられます。

「あそこで座り込んでいる子がいる」「あともう少しで来るはず」など、活動を積み重ねてきたボランティアの皆さんの言葉や立ち姿は頼もしいものです。

 登下校の見守りのほか夜間パトロールなどの活動の様子などはしっかりと日報に書かれ、記録として引き継がれています。

 安全・安心ステーションができた2008年度は、住宅の前にメモが貼られているなどの不審な事案が多くあったとの記載もありました。安全・安心ステーション運営委員会の皆さんのお話では、以前の渡内地区は空き巣やひったくりなどの被害が多かったのが、安全・安心ステーションが設置されてからは犯罪が減ったとのことです。また、拠点ができたことにより、三者連携(学校・家庭・地域)や防犯協会、交通安全対策協議会の立ち寄りどころにもなり、防犯だけでなく、交通安全も含めた地域の人同士の情報交換が可能になったといいます。

 安全・安心ステーションには、子どもが落とし物を届けに訪れたり、道を尋ねに来たりすることもあるそうです。ボランティアのみなさんがお茶やお菓子を持ち寄り、縁側のような雰囲気で日常的にステーションに詰めている村岡地区。安全・安心ステーションを拠点とした活動により、人や情報の交流が生まれ、犯罪の抑止効果が高まっているという確かな手ごたえを感じることができました。